GLP1には血糖値を調整する役割がある。GLP1 受容体作動薬は、この役割を利用して膵臓からのインスリン分泌を促し、分泌されたインスリンによって血糖値を下げる薬である。GLP1 受容体作動薬は、糖尿病治療薬や肥満治療薬に利用されている。GLP1 受容体作動薬には、近年まで注射のみしかなかったが2021年に飲み薬が開発された。飲み薬が開発されたことにより、痛みを伴わずに服用できるようになったことが最大のメリットである。
GLP1の分泌量を増やすことでダイエット効果を謳う市販のダイエットサプリもあるが、これによる効果は医学的にまだ証明されていないのだ。また、GLP1 受容体作動薬を個人輸入して使用することは安全性の面からおすすめしない。クリニックに相談して利用しよう。
ダイエット目的でGLP1の利用を検討している人は参考にしてほしい。
GLP1の役割と飲み薬の効果
GLP1の役割は血糖値の調整である。この役割を利用して、糖尿病治療薬や肥満治療薬に利用されている。GLP1の製剤は注射のみしかされていなかったが、2021年2月に飲み薬「リベルサス」が発売されるようになった。GLP1の飲み薬「リベルサス」でも注射と同様に効果がある事が証明されている。これにより、注射の痛みを伴わないで摂取できる事から、糖尿病治療、肥満治療としてより利用しやすくなったのである。
GLP1の役割は血糖値の調整
GLP1とは、食事を摂ると小腸から分泌され、インスリンの分泌を促す働きがあるホルモンの1つである。GLP1には血糖値のコントロールと食欲を抑制するはたらきがある。
GLP1は、血糖が高くなった時のみインスリン分泌を促し、逆に血糖が低くなると血糖が下がりすぎないように調節してくれる作用がある。そのため、欧米では肥満治療薬として用いられている。日本でも、糖尿病治療薬や肥満治療薬として用いられている。
GLP1の飲み薬は2021年から発売開始
GLP1の製剤は注射のみしかされていなかったが、2021年2月に飲み薬「リベルサス」が発売されるようになった。
リベルサスの効果は、「糖尿患者 711名のリベルサスとビクトーザの比較海外研究(LANCET2019)」で証明されている。研究内容は以下の通りである。飲み薬も注射と同様に糖尿病治療と減量効果があったことがわかる。
<対象>糖尿満患者711名
<方法>
リベルサス1.5㎎/日、ビクトーザ1.8㎎/日、プラセボ(偽薬)グループに分けた。
26週間後の糖尿病治療効果、減量効果を評価した。
<結果>
減量効果:リベルサス、ビクトーザともに同等の糖尿病治療効果を認めた。
リベルサス15㎎/日は、ビクトーザ1.8㎎/日よりも優位な体重減少がみられた。
リベルサス15㎎/日グループで、平均体重減少は4.4kg。
ビクトーザ1.8㎎/日グループで、平均体重減少は3.1kg。
引用:うらた皮膚科
GLP1飲み薬「リベルサス」のメリット
GLP1飲み薬「リベルサス」を服用するメリットを以下があげられる。
- 自然に食欲を抑えられる
- 太りにくい体質になれる
- 自宅で治療を続けられる
- 注射が苦手な方でも摂取しやすい
リベルサスの服用によって自然に食欲が抑えられ、空腹感も少なくるため食事量が減ることで、ハードな運動や厳しい食事制限を行わなくても、ダイエット効果が見込める。また、内臓脂肪の燃焼や基礎代謝の向上も見込めるため、体質を改善できる可能性も高いのだ。
そして、何より今まで注射タイプしかなく服用には痛みをともなっていたが、リベルサスは1日1回錠剤を経口投与となるため、他の注射タイプのGLP1受容体作動薬と比べて痛みがなく利用しやすいのが最大のメリットである。
GLP1飲み薬「リベルサス」の注意点
GLP1の飲み薬「リベルサス」を飲む時の注意点として、リベルサスの吸収は胃の内容物により左右されるため空腹時に服用することだ。1日の最初の食事、飲水の前の空腹の状態でコップ約半分の量の水です服用する。そして、服用後30分以上は、飲食及び他の薬剤を摂取してはいけない。
そして、「リベルサス」の副作用についても把握しておこう。リベルサスの副作用には以下のものがある。
- 胃腸障害(嘔吐、吐き気、下痢、胸やけ)
- 低血糖
- めまい
- 味覚異常
- 消化不良
- 糖尿病網膜症
胃腸障害については、内服を継続することで副作用が軽くなる可能性もある。副作用の発現リスクを抑えるために、徐々に投与量を増やす方法を用いられるのが一般的である。また、リベルサスの服用によりまれに低血糖に陥ることがある。ただし、血糖値の上昇に応じて数値を低下させる薬なので、必要以上に血糖値を下げてしまうことは少ない。このほかにも、さまざまなリスクが考えられるため、リベルサスの副作用に不安がある方は一度医師に相談しよう。
GLP1の市販薬や個人輸入の危険
GLP1の分泌量には個人差がある。分泌量が少ない人は太りやすく、分泌量が多い人は痩せやすいというように体質にも影響をもたらしている。
市販されているダイエットサプリの中には、このGLP1の分泌量を増やすことで痩せることが出来ると謳っているものがある。
しかし、GLP1の分泌量を増やすダイエットサプリ自体にダイエット効果は期待できない。元々サプリは栄養補助食品の一種で、不足しがちな栄養を補給するためのものである。例えGLP-1を増やす成分がサプリに含まれていたとしても、どこまでダイエット効果があるかは医学的な根拠がない。
市販のGLP1のダイエットサプリの主成分と効果
GLP-1サプリとして販売されるものには、主に以下3つの成分が含まれている。
- EPA・DHA
- 食物繊維
- 乳酸菌
これらの成分は腸の働きを活性化させる働きがある。そもそもGLP1とは、食べ物が小腸に辿り着いたときに腸の一部から分泌されるホルモンである。これらの栄養素を摂取することでGLP1の分泌を増やし、結果的に食事量を減らすことができるの期待されている。ただし、この循環はあくまでも間接的なもので、必ずしも分泌量が増えるとは言い切ないのだ。
また、サプリには副作用の危険性がないと思われがちだが、絶対に安全とは言い切れない。仮に過剰摂取をしたり服用中の薬と相性が悪いと、貧血やめまい、肌荒れなどのトラブルを引き起こす可能性あるのだ。
GLP1の痩せ薬やダイエットサプリの個人輸入
国内の市販のGLP1ダイエットサプリの効果がないからといって、個人輸入は行わないことである。過去には、個人輸入した海外の痩せ薬が原因で死亡事故も発生しており福祉保健局にて公表されている。
携帯サイトを使用して購入した「MDクリニックダイエット」と称される製品を服用したことが原因と疑われる死亡事例が発生しました。
このような製品を服用すると重大な健康被害が起こるおそれがあるので、服用している方は直ちに中止し、健康被害が疑われる場合には、速やかに医療機関を受診してください。
引用:福祉保健局<pdf>
昨今では、ネットで簡単に入手できるものも多いが、健康被害を防ぐため個人輸入で手に入るやせ薬でのダイエットは控えるべきである。また、GLP1のダイエット注射(サクセンダ・ビクトーザなど)の個人輸入できるサイトがあるが安全性の面から絶対に行わないようにしよう。
そして、GLP1ダイエットは医師から処方される薬を利用しよう。アメリカやヨーロッパなどで、肥満治療薬として承認されているGLP1受容体作動薬を使用されていることが多い。また、日本でも糖尿病の治療薬として多く利用されているが肥満治療としても使用されている。主に注射器で投与する方法が用いられている。投与することで食欲が自然と落ちるため、ストレスを感じることなく食べる量を減らすことができるのだ。治療法は主に自己注射になるが、極細針のため痛みを抑えて注入可能だ。そして、前項で紹介した飲み薬リベルサスも開発済みであるため痛みを伴わない接収も可能である。
GLP1を使用した治療の保険適用と商品
GLP1を使用した治療には保健適用される場合とされない場合がある。また、治療に使用できる商品も様々である。記事では、商品の紹介をするが使用にあたってはクリニックに相談しよう。
GLP1を使用した治療の保健適用
GLP1を使用した治療は治療用途によって、保険適用を受けられるか扱いが変わる。糖尿病治療薬としては保険の対象であるが、肥満治療の場合は自費診療となる。そのため、ダイエットを目的としたGLP1の処方は、保険が適用されない。
保険適用されない場合は、飲み薬のリベルサスの場合、費用は1ヶ月およそ15,000~30,000円。注射タイプの場合で6~8万円というのが相場である。さらにカウンセリング料や診察料、採血料などが加算される場合もあり、保険が適用されないGLP1ダイエットにかかる費用は決して安くはないのだ。
GLP1受容体作動薬の商品一覧
「GLP-1受容体作動薬」とは、膵臓からのインスリン分泌を促し、分泌されたインスリンによって血糖値を下げる薬である。一般的な商品を紹介していく。GLP1受容体作動薬は、皮下注製剤と内服薬に分けられる。また、投与回数も商品によって変わってくる。
ビクトーザ
1日1回投与する皮下注製剤である。
ほかの種類の糖尿病治療薬との配合剤に関して、本剤の成分リラグルチドとトレシーバの成分インスリンデグルデクの配合剤(ゾルトファイ配合注)がある。
バイエッタ
1日2回投与する皮下注製剤である。
リキスミア
1日1回投与する皮下注製剤である。
ほかの種類の糖尿病治療薬との配合剤に関して、本剤の成分リキシセナチドとランタスなどの成分インスリングラルギンの配合剤(ソリクア配合注)がある。
ビデュリオン
週1回投与する皮下注製剤である。
トルリシティ
週1回投与する皮下注製剤である。
オゼンピック
週1回投与する皮下注製剤である。
リベルサス
内服薬のGLP-1受容体作動薬である。吸収促進剤の含有により、胃での薬剤成分の吸収を高め経口投与を可能にした製剤である。
服用方法に関しては1日1回の服用。
総括
- GLP1の役割は血糖値を調整すること。
- GLP1受容体作動薬は、膵臓からのインスリン分泌を促し、分泌されたインスリンによって血糖値を下げる薬である。
- GLP1受容体作動薬には、注射と飲み薬がある。
- 注射での摂取は自己注射。
- 2021年に飲み薬「リベルサス」が開発された。
- GLP1の分泌を促すダイエットサプリは効果が証明されていない。
- ダイエットサプリは健康面で安全でない可能性がある。
- 個人輸入したダイエットサプリやGLP1受容体作動薬の使用は危険である。
- GLP1を使用した糖尿病治療薬としては保険の対象である。
- GLP1を使用した肥満治療の場合は自費診療となる。
- 肥満治療で飲み薬のリベルサスを利用する場合、費用は1ヶ月およそ15,000~30,000円。
- 肥満治療で注射タイプを利用する場合は、6~8万円というのが相場である。
GLP1は血糖値を調整する役割があり、GLP1受容体作動薬は糖尿病治療や肥満治療薬として利用されている。今まで自己注射で投与していたが、2021年に飲み薬のリベルサスが開発されたことで、より利用しやすくなった。もし、肥満治療として利用する場合は保健適用外になるため注意しよう。飲み薬のリベルサスは15,000〜30,000円、注射タイプの場合は6〜8万円が1ヶ月あたりにかかり、費用が高くなる。
また、GLP1の分泌量を促すダイエットサプリは効果が証明されていないためおすすめできない。そして健康面でも心配である。そして、個人輸入でGLP1受容体作動薬を入手し、使用することも危険であるためやめておこう。ダイエット目的でGLP1を検討している場合はクリニックへ相談することである。