プラチナカードとして名高いアメリカン・エキスプレスのカードですが、一般的な「アメックスプラチナ」と、全日空(ANA)とのコラボレーションカードである「ANAアメックスプラチナ」は、一見似ているものの、実はその特徴や優位性が大きく異なります。どちらのカードがあなたのライフスタイルに合うのか、詳細に比較しながら解説していきます。
アメックスプラチナとANAアメックスプラチナの基本情報
まず、両カードの基本的な情報を確認しておきましょう。
アメックスプラチナ
アメリカン・エキスプレスが直接発行する最上級のプレミアムカードの一つです。年会費は15万円(税込)と決して安くはありませんが、その分、旅行や飲食、ショッピングなど多岐にわたる特典を提供しています。
ANAアメックスプラチナ
全日空(ANA)とアメリカン・エキスプレスが提携して発行するプラチナカードです。年会費は10万円(税込)とアメックスプラチナよりも抑えめですが、ANAマイルの貯まりやすさに重点を置いた特典設計となっています。
年会費とコストパフォーマンス
「アメックスプラチナ」の年会費は15万円(税込)です。これに対して「ANAアメックスプラチナ」の年会費は10万円(税込)と、5万円の差があります。単純な年会費だけを比較すると、ANAアメックスプラチナの方がコストパフォーマンスが高いように見えますが、実際には提供されるサービスや特典内容によって価値が変わってきます。
アメックスプラチナの主な価値
アメックスプラチナには、毎年4万円分の「ダイニングby招待日和」のクレジットや、5万円相当の「フライト・アンド・ホテル・ベネフィット」など、年会費を上回る価値の特典が付帯しています。さらに、国内外のレストランやホテル、リテールでの様々な優待特典も充実しています。
ANAアメックスプラチナの主な価値
ANAアメックスプラチナは、ANAマイルを重視する方にとって非常に魅力的です。入会ボーナスとして3万マイルを獲得でき、毎年の継続特典として2万マイルが付与されます。また、カード利用額に応じたマイル還元率も高く設定されています。
つまり、年会費だけで判断するのではなく、自分がどのような特典を重視するかによって、どちらのカードが「お得」かが変わってくるのです。
旅行関連の特典比較
アメックスプラチナの旅行特典
「アメックスプラチナ」は、旅行者に対して幅広い特典を提供しています。例えば、世界1,300ヶ所以上のラウンジが利用できる「プライオリティ・パス」の無料会員資格や、フォーシーズンズホテル&リゾーツやマンダリン・オリエンタルなどの高級ホテルでの特別優待プログラム「ファイン・ホテル&リゾート」などが含まれています。
また、コンシェルジュサービスを通じて、レストランの予約や旅行のプランニングなど、様々なサポートを受けることができます。さらに、空港送迎サービスや、海外旅行保険(最高1億円)など、旅行をより快適にするサービスが充実しています。
ANAアメックスプラチナの旅行特典
「ANAアメックスプラチナ」も、空港ラウンジの利用や海外旅行保険などの基本的な旅行特典は提供していますが、その焦点はANAの利用に関連したサービスにあります。例えば、ANAラウンジの無料利用や、ANAの上級会員プログラム「スーパーフライヤーズカード(SFC)」の獲得が通常よりも容易になるなど、ANA便を頻繁に利用する方にとって価値の高い特典が用意されています。
また、ANAマイルを貯めるという観点では、ANAアメックスプラチナが圧倒的に有利です。カード利用額100円につき1.3マイルというマイル還元率は、他のカードと比較しても非常に高水準です。さらに、ボーナスマイルキャンペーンなども定期的に実施されています。
ポイントプログラムの違い
アメックスプラチナのポイント
「アメックスプラチナ」では、カード利用額100円につき1ポイントのメンバーシップ・リワード・ポイントが貯まります。このポイントは、様々な航空会社のマイルやホテルのポイントに交換できる柔軟性が魅力です。例えば、ANAマイルだけでなく、JALのマイルやマリオットボンヴォイポイントなど、幅広いパートナープログラムに移行可能です。
また、ポイントの有効期限がなく、貯めたポイントは好きなタイミングで使うことができます。さらに、ポイント交換のボーナスキャンペーンも定期的に実施されており、効率良くポイントを活用することができます。
ANAアメックスプラチナのポイント
「ANAアメックスプラチナ」では、カード利用額がダイレクトにANAマイルとして貯まる仕組みになっています。100円につき1.3マイルという高い還元率に加え、ANAショッピングAマイルモールを経由したオンラインショッピングでは、さらに高いマイル還元を受けることができます。
ANAマイルは主にANA便や提携航空会社の特典航空券、アップグレードに使用できるほか、様々な商品やサービスとの交換も可能です。ただし、マイルには有効期限(最長3年)があるため、計画的に利用する必要があります。
空港ラウンジアクセスの比較
アメックスプラチナのラウンジアクセス
「アメックスプラチナ」では、世界中の「プライオリティ・パス」加盟ラウンジ(1,300ヶ所以上)と、アメックス独自の「センチュリオン・ラウンジ」(ニューヨーク、サンフランシスコ、香港など主要都市に展開)の利用が可能です。また、日本の主要空港にある「アメリカン・エキスプレス・ラウンジ」も利用できます。
家族カード会員も同様にこれらのラウンジを利用できるため、家族での旅行の際にも便利です。ただし、「プライオリティ・パス」の利用には事前登録が必要です。
ANAアメックスプラチナのラウンジアクセス
「ANAアメックスプラチナ」では、ANAが運営する国内空港ラウンジ(ANA LOUNGE)と国際線ラウンジ(ANA SUITE LOUNGE)の利用が可能です。これは、搭乗する航空会社に関係なく利用できるため、他社便利用時でもANAのラウンジを使えるのが大きなメリットです。
また、「プライオリティ・パス」の会員資格も付帯しているため、世界各地のラウンジも利用可能です。ただし、「センチュリオン・ラウンジ」へのアクセスは含まれていない点は、アメックスプラチナとの大きな違いです。
コンシェルジュサービスの違い
アメックスプラチナのコンシェルジュ
「アメックスプラチナ」のコンシェルジュサービスは、24時間365日対応で、レストランの予約から旅行のプランニング、イベントのチケット手配まで、様々なリクエストに対応してくれます。特に、人気レストランの予約やプラチナ会員向けの特別イベントへの招待など、プレミアムな体験を提供することに定評があります。
また、プラチナ・コンシェルジュは、会員の好みや利用履歴を記録しており、パーソナライズされたサービスを受けることができます。例えば、特定のレストランやホテルの好みを覚えておいてくれるため、次回のリクエスト時にはより適切な提案をしてくれます。
ANAアメックスプラチナのコンシェルジュ
「ANAアメックスプラチナ」のコンシェルジュサービスも基本的な機能は同様ですが、ANAの旅行関連サービスとの連携がより強化されています。例えば、ANAの特典航空券の予約サポートや、ANAが提携するホテルの優先予約などが可能です。
ただし、アメックスプラチナのコンシェルジュサービスと比較すると、対応可能なリクエストの範囲や、特別なアレンジメントの幅は若干狭い印象があります。それでも、日常的な予約や問い合わせに対しては十分なサポートを受けることができます。
付帯保険の比較
アメックスプラチナの付帯保険
「アメックスプラチナ」の付帯保険は非常に充実しており、海外旅行保険では最高1億円の補償が付いています。また、国内旅行保険やショッピング保険も手厚く、カード会員とその家族を広くカバーしています。
特に、医療費の立て替えなしで治療を受けられる「キャッシュレス・メディカル・サービス」は、海外での急な病気やケガの際に非常に心強いサービスです。また、手荷物の遅延や紛失時の補償、航空便の遅延による費用の補償なども含まれています。
ANAアメックスプラチナの付帯保険
「ANAアメックスプラチナ」も同様に充実した保険サービスを提供していますが、海外旅行保険の補償額は最高5,000万円とアメックスプラチナよりもやや低めに設定されています。ただし、日常的な利用においては十分な補償内容と言えるでしょう。
また、ANAアメックスプラチナには、ANAの航空便に関連した特別な保険サービスが付帯している場合もあります。例えば、ANAの航空便遅延による追加費用の補償などが強化されていることがあります。
特別イベントやダイニング特典の比較
アメックスプラチナの特別イベント・ダイニング
「アメックスプラチナ」では、「ダイニングby招待日和」という特典があり、対象レストランでの食事代が年間最大4万円まで無料になります。また、国内外の有名レストランでの優先予約サービスや、特別コースの提供など、食通を満足させる特典が多数用意されています。
さらに、「プラチナ・イベント」と呼ばれる会員限定イベント(音楽コンサート、スポーツ観戦、文化イベントなど)への招待や、チケットの先行予約権なども魅力的です。これらのイベントは、通常では入手困難なチケットや特別な体験を提供してくれます。
ANAアメックスプラチナの特別イベント・ダイニング
「ANAアメックスプラチナ」でも、レストランやイベントに関する特典はありますが、その焦点はやはりANA関連のサービスに置かれています。例えば、ANAが主催する特別フライトやイベントへの優先参加権や、ANA関連施設での優待サービスなどが中心となっています。
一般的なダイニング特典やイベント招待については、アメックスプラチナの方が種類も頻度も多い傾向にあります。しかし、ANAのフライト体験や航空関連イベントに興味がある方にとっては、ANAアメックスプラチナならではの特典も魅力的です。
ステータス性の比較
アメックスプラチナのステータス性
「アメックスプラチナ」は、世界的に認知度の高い最上級カードの一つであり、そのステータス性は非常に高いと言えます。メタル製のカードデザインや、高級店での優遇サービスなど、カード会員であることの満足感は大きいでしょう。
また、アメックスプラチナは、インビテーション(招待)制ではなく申し込み制であるため、一定の条件を満たせば誰でも取得可能です。ただし、審査基準は厳しく、安定した高収入や良好な信用履歴が求められます。
ANAアメックスプラチナのステータス性
「ANAアメックスプラチナ」も高いステータス性を持っていますが、その認知度はアメックスプラチナと比べるとやや劣る面があります。ただし、ANA上級会員への近道となるカードとして、頻繁に飛行機を利用するビジネスパーソンやマイラーからの評価は非常に高いです。
また、ANAアメックスプラチナは、アメックスプラチナよりも年会費が低いにもかかわらず、多くのプレミアムサービスを受けられるため、コストパフォーマンスの高いプレミアムカードとして人気があります。
あなたに最適なプラチナカードの選び方
これまでの比較を踏まえ、どのようにして最適なカードを選べばよいのでしょうか。以下のポイントを参考にしてください。
Point 1
旅行スタイルを考慮する
ANAを頻繁に利用する方や、ANAマイルを効率よく貯めたい方は「ANAアメックスプラチナ」が適しています。一方、様々な航空会社やホテルチェーンを利用する方や、旅行以外のライフスタイル特典も重視する方は「アメックスプラチナ」が良いでしょう。
Point 2
マイルとポイントの使い方
ANAマイルを特典航空券やアップグレードに使いたい方は「ANAアメックスプラチナ」が最適です。一方、様々なポイントプログラムに柔軟に交換できる汎用性を重視する方は「アメックスプラチナ」のメンバーシップ・リワード・ポイントが有利です。
Point 3
年会費とコストパフォーマンス
年会費の負担を少しでも抑えたい方は「ANAアメックスプラチナ」の方が5万円お得です。ただし、「アメックスプラチナ」のダイニングクレジットやフライト・アンド・ホテル・ベネフィットなどを活用すれば、年会費以上の価値を得ることも可能です。
Point 4
付帯サービスの重要度
コンシェルジュサービスやイベント招待、ダイニング特典などを重視する方は「アメックスプラチナ」の方が満足度が高いでしょう。一方、ANAのラウンジアクセスやマイル獲得を最優先する方は「ANAアメックスプラチナ」が適しています。
Point 5
将来的な利用計画
今後、海外旅行やビジネス出張が増える予定の方や、様々な特典を幅広く利用したい方は「アメックスプラチナ」の方が長期的に満足度が高い可能性があります。一方、ANA便の利用頻度が高い方や、ANAのステータスアップを目指している方は「ANAアメックスプラチナ」がキャリアの強い味方になるでしょう。
まとめ
「アメックスプラチナ」と「ANAアメックスプラチナ」は、どちらも高いステータス性と充実したサービスを提供するプレミアムカードです。前者は多様なライフスタイル特典と柔軟なポイントプログラムが魅力であり、後者はANAマイルの効率的な獲得とANA関連サービスの充実が強みです。
どちらのカードを選ぶかは、あなたの旅行スタイル、ポイントの利用計画、予算、そして重視するサービスによって異なります。この記事を参考に、あなたのライフスタイルや価値観に合ったプラチナカードを選んでいただければ幸いです。
最後に、どちらのカードも年会費は決して安くないため、カードの特典やサービスを最大限に活用できるかどうかを冷静に判断することが大切です。自分のライフスタイルに合わせて、最もコストパフォーマンスの高いカードを選びましょう。