アメリカン・エキスプレスのグリーンカードは、同社が提供するチャージカードの一つです。チャージカードとは、通常のクレジットカードと異なり、基本的に利用した金額を翌月に一括で支払う必要があるカードです。年会費は29,700円(税込)と、一般的なクレジットカードと比較すると高めに設定されていますが、その分、充実した特典やサービスが提供されています。
アメックスグリーンカードの主な特徴として、旅行傷害保険や手荷物遅延保険などの各種保険サービス、空港ラウンジの利用特典、グローバルに利用できる加盟店ネットワーク、24時間365日のカスタマーサービスなどが挙げられます。また、アメックスの会員向けイベントや限定オファーなど、カード会員だけが享受できる特別な体験も提供されています。
学生がアメックスグリーンカードを持てるのか?
結論から言えば、学生でもアメックスグリーンカードを持つことは可能です。ただし、一般の社会人と比較すると、審査のハードルは高くなる傾向があります。アメリカン・エキスプレスは公式に学生向けのカード発行を禁止しているわけではありませんが、安定した収入や信用履歴を重視する審査基準があるため、学生が申し込む場合には以下のポイントが重要になります。
安定した収入の証明
アメックスグリーンカードの審査において最も重視されるのが、申込者の収入状況です。学生の場合、親元を離れて一人暮らしをしている場合や、奨学金だけで生活している場合は、安定した収入を証明することが難しいかもしれません。しかし、アルバイトやインターンシップなどで定期的な収入がある場合は、その収入を申告することで審査に通過する可能性が高まります。
特に、長期のアルバイトやパートタイムの仕事で一定の収入を得ている場合は、その勤務先や収入額を正確に申告することが大切です。月々の収入が10万円以上あれば、学生でも審査に通る可能性が出てきます。
信用履歴の構築
アメックスグリーンカードの審査では、申込者の信用履歴も重要な判断材料となります。これまでにクレジットカードやローンの利用経験がある場合、その返済履歴が審査に影響します。学生の場合、信用履歴が短いか、まったくない場合が多いため、この点がネックになることがあります。
信用履歴を構築するためには、まずは学生向けのクレジットカードや、比較的審査が緩やかなカードを作成し、数ヶ月から1年程度使用した後にアメックスグリーンカードに申し込むという段階的なアプローチが効果的です。この間、支払いの遅延や滞納がないように注意することが大切です。
親または保証人のサポート
学生の場合、単独での申し込みが難しい場合は、親や保証人のサポートを受けることも一つの選択肢です。具体的には、親の名義で家族カードを作成してもらう方法があります。家族カードの場合、本会員(親)の信用力を基に発行されるため、学生単独で申し込むよりも審査に通過しやすくなります。
ただし、家族カードは本会員と利用限度額を共有することになるため、使い過ぎには注意が必要です。また、支払い責任は本会員にあるため、家族間での信頼関係が重要になります。
学生ステータスのメリット
実は、学生であることが審査においてプラスに働くケースもあります。特に、高等教育機関(大学や大学院)に在籍している場合、将来的な収入ポテンシャルが高いと見なされることがあります。特に医学部や法学部、ビジネススクールなど、卒業後の平均年収が高い学部や専攻の学生は、カード会社から将来の優良顧客として評価されることがあります。
申し込み時には、在学中の学校名や専攻、学年などを正確に記入し、学生証のコピーを提出することで、この点をアピールできます。
アメックスグリーンカードの審査基準を詳しく理解する
アメリカン・エキスプレスの審査基準は完全には公開されていませんが、一般的に以下の要素が重視されていると言われています。これらの基準を理解することで、学生でも審査に通過するための戦略を立てることができます。
年収と返済能力
アメックスは申込者の年収や月収を重視します。これは、カードの利用額を毎月支払う能力があるかどうかを判断するためです。学生の場合、アルバイトやパートタイムの収入が主となりますが、安定して月に10万円以上の収入があれば、審査に通過する可能性が出てきます。
収入証明書の提出を求められる場合がありますので、アルバイト先の給与明細や源泉徴収票などを事前に準備しておくと良いでしょう。また、定期的な仕送りや奨学金なども、安定した収入として申告できる場合があります。
信用情報と支払い履歴
クレジットカードやローンの返済履歴は、個人の信用情報として記録されています。これまでに支払いの遅延や滞納がないか、過去に債務整理をしたことがないかなどが審査されます。学生の場合は信用履歴が短いため、少しでも早く他のクレジットカードで信用を積み上げることが重要です。
特に、携帯電話の分割払いやカード型ローンなども信用情報に影響しますので、すべての支払いを期日通りに行うように心がけましょう。
他社からの借入状況
アメックスは他社からの借入状況も審査の対象としています。多額の借金やローンを抱えている場合、返済能力に疑問が生じるため、審査に不利に働く可能性があります。学生ローンや奨学金がある場合でも、それらの返済が滞りなく行われていることが重要です。
他社からの借入が多い場合は、一部を返済するなどして借入総額を減らしてから申し込むことも検討すべきでしょう。
勤務先や勤続年数
安定した職業や長い勤続年数は、信頼性と安定性を示す重要な指標です。学生の場合、アルバイトやパートタイムの仕事が主となりますが、同じ職場で長く勤めていることは審査においてプラスに働きます。
申し込み時には、勤務先の正式名称や所在地、勤続年数などを正確に記入しましょう。長期間勤務していることをアピールできれば、安定した収入源があることの証明になります。
居住形態と居住年数
持ち家や長期の賃貸契約は、生活の安定性を示す指標となります。学生の場合、実家暮らしや学生寮、シェアハウスなど様々な居住形態がありますが、同じ場所に長く住んでいることは信頼性を高めます。
申し込み時には、現住所での居住年数や家賃の支払い状況などを正確に記入しましょう。頻繁に引っ越しをしている場合は、それが審査において不利に働く可能性があることを認識しておく必要があります。
学生がアメックスグリーンカードを申し込む前の準備
まずは、審査のハードルが比較的低いクレジットカードを作成し、6ヶ月から1年程度使用して信用履歴を構築することが重要です。学生向けのクレジットカードや、審査が緩やかな銀行系カードなどが適しています。この間、毎月の支払いを確実に行い、延滞や滞納をしないように注意しましょう。
特に、利用限度額の30%程度を定期的に使用し、毎月きちんと返済することで、責任ある信用利用の履歴を作ることができます。
アルバイトやパートタイムの仕事で安定した収入を得ていることは、審査において重要なポイントです。できれば、同じ職場で6ヶ月以上勤務し、月々の収入が安定していることを示せるようにしましょう。
収入証明を求められる場合に備えて、給与明細や源泉徴収票などの書類を整理しておくことも大切です。可能であれば、月々の収入を増やすための努力(シフトの増加や時給の交渉など)も検討すべきでしょう。
学生ローンや奨学金以外の借入がある場合は、できるだけ返済して借入総額を減らすことが望ましいです。特に、高金利のカードローンや消費者金融からの借入は早めに返済するように心がけましょう。
複数のクレジットカードを持っている場合は、利用頻度の低いカードを解約するなど、借入可能額を適切に管理することも大切です。
アメックスグリーンカードに申し込む際には、以下の書類を準備しておくと良いでしょう:
これらの書類を事前に準備しておくことで、申し込み時の手続きがスムーズになります。
アメックスグリーンカードに申し込むタイミングも重要です。以下のようなタイミングが審査に有利に働くとされています:
特に、学生から社会人への移行期(就職が決まった時期や卒業直前)は、将来の収入ポテンシャルが高まるため、審査に有利に働く可能性があります。
学生向けのアメックスグリーンカード代替案
アメックスグリーンカードの審査に通過するのが難しい場合は、以下のような代替案を検討することも一つの方法です。これらのカードは、学生でも比較的取得しやすく、将来的にアメックスグリーンカードへのステップアップを目指す上での足がかりとなります。
意外に思われるかもしれませんが、年会費が34,100円(税込)とグリーンカードよりも高額なゴールドカードの方が、審査基準が若干緩やかな場合があります。これは、カード会社としては年会費収入を重視しているためと言われています。学生でも一定の収入があれば、ゴールドカードの審査に通過する可能性があります。
ゴールドカードでは、グリーンカード以上の特典(空港ラウンジの無料利用回数増加や飲食店での優待など)が提供されるため、旅行や外食が多い学生にとっては魅力的な選択肢となります。
アメックスの一般カード(通称ブルーカード)は、年会費が13,200円(税込)とグリーンカードの半額以下に設定されており、審査基準も比較的緩やかです。学生でも安定した収入があれば取得しやすいカードの一つです。
一般カードでも、アメックスの基本的なサービス(旅行保険や24時間カスタマーサービスなど)は利用できるため、まずはこのカードでアメックス会員としての実績を積み、その後グリーンカードにアップグレードするという戦略も有効です。
各種提携カード(ANA、JAL、デルタ、ヒルトン、マリオットなど)も、プロパーカードよりも審査基準が緩やかな傾向があります。特に、学生が頻繁に利用するサービスとの提携カードを選ぶことで、実用性とステータスを兼ね備えたカードを手に入れることができます。
例えば、航空会社との提携カードは、旅行好きな学生にとって魅力的な選択肢となるでしょう。これらのカードでアメックス会員としての実績を積んだ後に、グリーンカードに切り替えることも可能です。
学生専用のクレジットカードも、信用履歴を構築する上で有効な選択肢です。三井住友VISAカードの学生カードや、JCB CARD Wなど、学生向けに特化したカードは審査が比較的緩やかで、年会費も無料または低額に設定されています。
これらのカードを1年以上利用し、支払い履歴を積み重ねた上で、アメックスグリーンカードに申し込むという段階的なアプローチが効果的です。
まとめ:学生がアメックスグリーンカードを持つための戦略
学生がアメックスグリーンカードを持つことは決して不可能ではありませんが、一定の準備と戦略が必要です。以下のポイントを押さえることで、審査に通過する可能性を高めることができます:
もし審査に通過しない場合でも、アメックスの他のカードや学生向けカードを利用して信用履歴を構築し、将来的にグリーンカードの取得を目指すという長期的な視点も大切です。