憧れのブラックカード。その中でも頂点に君臨するアメリカン・エキスプレスのセンチュリオンカードは、一般には公開されていない情報が多く、謎に包まれた存在です。「一体どれくらいの年収があれば手に入るのか」「どんな特典があるのか」「どうすれば招待してもらえるのか」。これらの疑問に対して、可能な限り最新の情報をお届けします。
クレジットカードの世界には様々なランクが存在しますが、その頂点に立つのがブラックカードです。中でもアメックス センチュリオンは「カード界の王様」とも呼ばれ、持つ人の社会的ステータスを瞬時に示すアイテムとして知られています。世界中の富裕層が憧れるこのカードは、単なる決済手段を超えた特別な存在なのです。
アメックス センチュリオンとは
アメリカン・エキスプレス・センチュリオン・カード(通称:アメックス・センチュリオン)は、アメリカン・エキスプレス社が発行する最上位のクレジットカードです。センチュリオンという名前は、アメックスのシンボルである古代ローマ兵士の「百人隊長(センチュリオン)」に由来しています。このカードはアメックスの最高峰であることを示す象徴的な存在とも言えるでしょう。
通常のクレジットカードと異なり、アメックス・センチュリオンは一般の申し込みを受け付けていません。完全招待制(インビテーション制)を採用しており、アメックス社が選んだごく限られた人物にのみ案内が届く仕組みとなっています。そのため、公式サイトにもカードの詳細情報は掲載されておらず、カード保有者からの情報に頼るしかないという特殊な状況にあります。
アメックス センチュリオンは世界中で「ブラックカード」と呼ばれていますが、その正式名称は「アメリカン・エキスプレス・センチュリオン・カード」です。かつては「アメリカン・エキスプレス・ブラック・カード」という名称でしたが、現在は一般にも公式にも「センチュリオン」と呼ばれています。一般のクレジットカードとは異なり、このカードは富と社会的地位の象徴として世界中の富裕層から熱烈な支持を集めています。
センチュリオンカードの誕生は1999年とされており、それまでプラチナカードが最上位だったアメックスが「より上のカード」を望む声に応えて創設したと言われています。当初は限られた国でのみ発行されていましたが、現在は日本を含む世界各国で展開されています。
センチュリオンカード保有者に必要な年収は?
アメックス・センチュリオンを持つための明確な年収条件は公式には公開されていませんが、様々な情報源から推測することは可能です。センチュリオン会員向けの会報誌「CENTURION」の広告媒体資料によると、会員の平均世帯年収は約1億9,800万円とされています。個人年収ではなく世帯年収ではありますが、この数字からも、センチュリオンカードの保有者が超富裕層であることが分かります。
また、会員の約半数は会社オーナー(共同オーナーを含む)とされており、富裕層の中でも特に経済的成功を収めた方々がカードを保有していることが伺えます。一般的な見解としては、センチュリオンカードを手に入れる可能性が出てくるのは年収1,000万円以上からで、確実性を高めるなら年収2,000万円以上が望ましいとされています。
しかし、年収だけがセンチュリオンカード取得の条件ではありません。アメックス社との関係性や利用実績も大きな要素となります。
インビテーション(招待)を受けるための条件
センチュリオンカードは申し込み制ではなく、アメックス社からのインビテーション(招待)が必要です。この招待を受けるためには、以下のような条件を満たす必要があると言われています。
アメックスカードの長期保有
センチュリオン会員のアメックス会員歴は平均で23年と言われています。長期間にわたってアメックスカードを保有し、良好な関係を築いていることが重要です。多くの場合、ゴールドカードからスタートし、プラチナカードを経てセンチュリオンへと進むというキャリアパスを歩むことになります。
高額な利用実績
アメックスカード(主にプラチナカード)での継続的な高額利用が求められます。実際のセンチュリオン保有者の話では、プラチナカードで月に50万円から100万円程度の利用を続けていたという例があります。年間で数千万円の利用があることが望ましいとされています。
利用の質
単に金額が高いだけでなく、利用の質も重要です。高級ホテルやレストラン、海外旅行など、富裕層らしい使い方をしていることがアメックス社の目に留まりやすいと言われています。
安定した返済実績
当然ながら、延滞などのない完璧な返済履歴が必要です。アメックスカードは後払い(支払い)の信用取引ですので、支払い能力と信頼性の証明が不可欠です。
個別審査
センチュリオンカードの審査は、通常のクレジットカードと異なり、機械による自動審査ではなく人による個別審査が行われると言われています。これにより、数値だけでは測れない要素も評価されます。
インビテーションの実際
インビテーションの届き方も独特です。以前はブラックボックスに収められたカードが送られてきて、手続きによって有効化する仕組みでしたが、現在はアメックスの担当者から電話が入り、面談の予約が入ります。その面談の場でインビテーションが手渡され、その場で手続きを行うというスタイルに変わっています。
面談で何が話されるのか、面談後にインビテーションが渡されないケースがあるのかなど、詳細はまだ明らかになっていない部分も多いようです。
日本のセンチュリオンカード保有者数
日本におけるセンチュリオンカードの正確な保有者数は公表されていませんが、センチュリオン会員向け会報誌「CENTURION」の発行部数が8,500部であることから、日本の会員数は約7,000~8,500人程度と推測されています。日本の総人口(約1億2,000万人)から考えると、わずか0.00006%程度という極めて希少な存在です。
つまり、およそ1万5千人に1人という計算になり、その希少性の高さが伺えます。世界的に見ても、日本は英国、香港、ドイツ/オーストラリアに次いで4位にランクインしており、センチュリオンカード保有者が比較的多い国となっています。
センチュリオンカードの年会費と特典
年会費
センチュリオンカードの年会費は55万円(税込)と非常に高額です。さらに初年度には入会金として55万円が加算されるため、初年度の負担は合計110万円にもなります。これはアメックス・プラチナカードの年会費(14万3,000円)の約4倍に相当します。
カードの特徴
センチュリオンカードは通常のプラスチック製カードとは異なり、チタン製の高級感あふれる造りとなっています。カード番号や名前部分は職人が一枚一枚手作業で作り上げるという、まさに「特別」なカードです。漆黒の色合いとどっしりとした重みが特徴で、提示するだけで周囲の注目を集めるステータスシンボルとなります。
主な特典
センチュリオンカードの特典は公式には明らかにされていませんが、保有者の情報などから以下のようなサービスが含まれていることが分かっています。
1. パーソナル・コンシェルジュサービス
センチュリオン会員には専任のコンシェルジュが付き、24時間365日対応してくれます。レストランの予約から旅行の手配、ギフトの選定まで、あらゆる要望に応えてくれる専属秘書のようなサービスです。
2. 航空券の優待
パーソナル・コンシェルジュを通じて予約する場合、提携航空会社の国際線航空券(特に日本発着のビジネスクラス)を優待料金で手配可能です。また、アメックスを通して普通運賃で国内線航空券を購入した場合、JALはファーストクラス、ANAはスーパーシートプレミアムに無料でアップグレードされるケースもあります。
3. エミレーツ・スカイワーズ・ゴールド会員資格
エミレーツ航空のマイレージプログラム「スカイワーズ」のゴールド会員資格が無条件で付与されます。これにより、満席の便でも座席が保証されたり、ビジネスクラスラウンジの利用、優先チェックインや搭乗、追加手荷物許容量などの特典が受けられます。
4. 空港送迎サービス
対象となる空港では、ビジネスクラス以上の往復航空券をアメックスで購入した際に、空港から滞在先までの往復送迎が無料で提供されます。
5. 高額な旅行保険
センチュリオンカードには非常に手厚い旅行保険が付帯しています。国内旅行の場合、傷害死亡や後遺障害の保険金は最高1億円、入院保険金は日額10,000円、通院保険金は日額6,000円となっています。これはダイナースのプレミアムカードなど他のハイクラスカードと比較しても約2倍の保険額とされています。
6. ラウンジアクセス
センチュリオン会員は世界各国の空港ラウンジを無料で利用できます。日本では羽田空港や成田空港に複数のラウンジがあり、無料のソフトドリンクや新聞などのサービスが受けられます。
センチュリオンカードの利用限度額
アメックス・センチュリオンカードの大きな特徴の一つが、事実上の「利用限度額なし」というポイントです。正確には無制限というわけではありませんが、カード保有者のこれまでの利用・支払い実績に応じた高額な限度額が設定されると考えられています。超富裕層が日常的に使う金額でも限度額を気にせずに利用できるレベルとされています。
実際、センチュリオンカード保有者の中には「億単位の買い物もカードで決済した」という話も存在します。高額な美術品や宝飾品、スーパーカーなどもセンチュリオンカード一枚で決済できるというのは、このカードならではの強みでしょう。もちろん、そのような使い方ができるのは、アメックス社から相応の信用を得た上での話です。
不動産や高級車など特に高額な買い物をする際には、事前にアメックスに代金を入金することでポイントを獲得しながら決済することも可能です。この方法を使えば、実質的にどんな高額の買い物でも対応できます。「先払い」という意味では通常のクレジットカードの使い方とは異なりますが、その支払いに対してもポイントが付くことを考えると、決して小さなメリットではありません。
通常のクレジットカードでは「限度額オーバー」というトラブルが起きることがありますが、センチュリオンカード保有者はそのような心配をする必要がありません。海外での高額な買い物や突発的な出費があっても、カードが利用できないという事態に陥る可能性は極めて低いと言えるでしょう。
これは単に利便性だけの問題ではなく、センチュリオンカード保有者としての「安心感」や「自信」につながる重要な特徴です。どんな場面でも「このカードさえあれば大丈夫」という安心感は、金銭では測れない価値があるのかもしれません。
センチュリオン保有者の生活スタイル
センチュリオン保有者のライフスタイルも興味深いデータがあります。会員の年間平均旅行回数は14回、出張回数は11回とされており、プライベートでも仕事でも海外へ頻繁に出かける傾向があります。この点から、センチュリオンカードは特に旅行が多い富裕層にとって大きなメリットがあると言えるでしょう。
センチュリオンカードの社会的意義
日本におけるセンチュリオンカードの位置づけ
日本では特に「アメックス センチュリオン」の知名度と憧れが強いと言われています。これは日本が世界で4番目にセンチュリオン保有者が多い国であることからも分かります。また、日本人のブランド志向や細部へのこだわりが、センチュリオンカードの職人による手作り感や重厚な質感と合致するためとも考えられています。
特筆すべきは、アメックス プラチナカードの会員誌「DEPARTURES」の発行部数が日本では約15万部と世界一であることです。これは日本のアメックスユーザーが世界的に見ても「上のカード」を求める傾向が強いことを示しています。
日本の富裕層におけるステータスシンボルとしては、高級外車や高級腕時計、名門会員制クラブの会員資格などが挙げられますが、センチュリオンカードはそれらに匹敵する、あるいはそれ以上の象徴的存在となっています。
センチュリオンカードを持つ心理的メリット
アメックス センチュリオンカードの魅力は、そのステータス性だけでなく、持ち主に与える心理的効果にもあります。最高峰のカードを持っているという自信は、ビジネスシーンでの交渉力を高めたり、社会的な信頼感を醸成したりするとも言われています。
また、「選ばれた人だけが持てるカード」という排他性が、所有する喜びをさらに高めます。通常のカードのように自分から申し込めるものではなく、アメックス社から「あなたに持ってほしい」と招待されるという逆転の構図が、持ち主の特別感を強化しているのです。
この「選ばれた感」こそが、高額な年会費を払ってでも所有する価値があると多くの保有者が感じる理由かもしれません。
センチュリオンカードを目指すには
アメックス・センチュリオンカードの取得は容易ではありませんが、もし目指すのであれば、まずはアメックス・ゴールドカードから始めるとよいでしょう。その後、利用実績を積み重ねながらプラチナカードへとステップアップし、さらに継続的に高額利用を続けることで、いつかセンチュリオンカードのインビテーションが届く可能性が高まります。
特に以下の点に注意することが重要です:
アメックスカードの利用を集中させること
高級ホテルやレストラン、航空券など「質」の高い使い方をすること
支払いを遅延させないこと
長期間にわたってカードを保有し続けること
ただし、招待条件を完全に満たしたとしても、インビテーションが必ず届くとは限りません。アメックス社は「選ばれた人だけが持てるカード」というステータス性を維持するため、発行枚数を厳しく制限していると考えられます。
終わりに
アメックス・センチュリオンカードは、単なるクレジットカードの域を超えた、富と成功の象徴とも言える存在です。年収条件や審査基準の厳しさからも分かるように、誰もが手にできるものではありません。しかし、その特別感と圧倒的なサービス内容は、多くの人にとって憧れの対象であり続けるでしょう。
もし将来、アメックス・センチュリオンカードの招待を目指すのであれば、まずはゴールドカードからスタートし、着実にステップアップしていくことをお勧めします。そして何より、カードそのものよりも、それを手に入れるための経済的成功を目指すことが、真の意味でのステータスと言えるのかもしれません。
アメックス・センチュリオンカードは、それを持つことが目的ではなく、成功の証として手に入れるものなのです。ただし、そのステータスに見合った高額な年会費と入会金を支払う価値があるかどうかは、個人の価値観や生活スタイルによって判断が分かれるところでしょう。年間110万円という費用を考えると、単なるステータスシンボルとしてではなく、提供されるサービスを最大限に活用できる方にこそ、真の価値があると言えるのかもしれません。
アメックス センチュリオンカードが持つ神秘性と特別感は、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。そして、その招待状を手にした時の喜びは、おそらく他では得難い特別な体験となるはずです。