アメリカン・エキスプレス・グリーンカード(通称アメックスグリーン)は、単なるクレジットカードではなく、ライフスタイルを彩る様々な特典が付帯しています。その中でも特に注目すべきが「プライオリティパス」の会員資格です。この特典は、世界中の空港ラウンジへのアクセスを提供し、旅行体験を格段に向上させます。今回は、アメックスグリーンカード会員が享受できるプライオリティパス特典について、その内容から活用法まで徹底的に解説します。
プライオリティパスとは?その基本を理解する
プライオリティパスは、世界最大の独立型空港ラウンジ・プログラムです。148カ国以上、1,300以上の空港ラウンジへのアクセスを提供しています。通常、このプログラムには年会費が必要ですが、アメックスグリーンカード会員は、特別な条件でこの特典を利用することができます。
アメックスグリーン会員が受けられるプライオリティパスは「プライオリティパス・スタンダード」と呼ばれるメンバーシップです。これは通常、年間99ドル(約11,000円)の会費がかかるものですが、アメックスグリーンカード会員は無料で登録することができます。ただし、ラウンジの利用ごとに32ドル(約3,500円)の利用料が発生します。この点は、無制限の無料ラウンジ利用を提供するプラチナカードやブラックカードとは異なりますが、それでも一般的なラウンジ利用料よりも割安で、年に数回の利用であれば十分にお得です。
アメックスグリーンでのプライオリティパス登録方法
プライオリティパスの特典を利用するためには、まず登録が必要です。以下に手順を詳しく説明します。
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アメリカン・エキスプレスのオンラインアカウントにログイン:公式ウェブサイトまたはモバイルアプリからアカウントにアクセスします。
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特典セクションに移動:ログイン後、「特典」または「Benefits」セクションを探し、クリックします。
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プライオリティパスを選択:利用可能な特典リストから「プライオリティパス」を見つけ、選択します。
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登録手続きを完了:画面の指示に従って必要情報を入力し、登録を完了させます。この際、氏名や住所などの個人情報の確認が求められることがあります。
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メンバーシップカードの受け取り:登録完了後、通常2〜3週間程度でプライオリティパスのメンバーシップカードが郵送されます。
また、デジタル版のメンバーシップカードも利用可能です。プライオリティパスの公式アプリをダウンロードし、登録したメールアドレスとパスワードでログインすることで、デジタルカードにアクセスできます。一部のラウンジではデジタルカードの提示も認められていますが、確実を期すためには物理的なカードも携帯しておくことをお勧めします。
世界中のプライオリティパス対応ラウンジ
プライオリティパスの真価は、その広範なラウンジネットワークにあります。北米、ヨーロッパ、アジア、中東、アフリカ、オセアニアなど、世界中の主要空港にラウンジが設置されています。以下に、地域別の主要ラウンジをいくつか紹介します。
日本国内の対応ラウンジ
成田国際空港:TEIラウンジ(第1ターミナル)、IASSエグゼクティブラウンジ(第2ターミナル)
羽田空港:SKY LOUNGE(国際線ターミナル)
関西国際空港:KALラウンジ
中部国際空港:プレミアラウンジ セントレア
福岡空港:くつろぎのラウンジTIME
アジア地域の主要ラウンジ
香港国際空港:Plaza Premium Lounge
シンガポール・チャンギ国際空港:SATS Premier Lounge
バンコク・スワンナプーム国際空港:Miracle Lounge
ソウル・仁川国際空港:Matina Lounge
北米の主要ラウンジ
ロサンゼルス国際空港(LAX):KALラウンジ
ニューヨーク・JFK国際空港:Air France-KLMラウンジ
トロント・ピアソン国際空港:Plaza Premium Lounge
ヨーロッパの主要ラウンジ
ロンドン・ヒースロー空港:No1 Lounge
パリ・シャルル・ド・ゴール空港:Icare Lounge
フランクフルト国際空港:LuxxLounge
これらはほんの一例で、実際にはさらに多くのラウンジが利用可能です。旅行前には、プライオリティパスの公式ウェブサイトやアプリで、訪問予定の空港のラウンジ情報を確認しておくことをお勧めします。
プライオリティパスラウンジの利用方法
プライオリティパスラウンジを利用する際の一般的な手順は以下の通りです。
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出国手続きを完了:セキュリティチェックと出国審査を済ませます。ほとんどのラウンジは出国エリア内にあります。
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ラウンジを探す:空港の案内表示やプライオリティパスアプリを使って、利用可能なラウンジの場所を確認します。
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メンバーシップカードを提示:ラウンジの受付で、プライオリティパスのメンバーシップカード(物理カードまたはデジタルカード)と搭乗券を提示します。
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利用料金の支払い:アメックスグリーンのプライオリティパスは「スタンダード」メンバーシップなので、ラウンジ利用ごとに32ドル(約3,500円)の利用料が発生します。この料金は通常、アメックスカードに後日請求されます。
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ラウンジの設備を享受:ラウンジ内では、無料の飲食サービス、Wi-Fi、快適な座席、ビジネスセンター、シャワー設備(一部ラウンジ)などを利用できます。
多くのラウンジでは、訪問者数を管理するために利用時間に制限(通常は2〜3時間)を設けていることがあります。また、混雑時には入場を制限する場合もあるため、特に繁忙期にはラウンジの到着前に利用可能かどうかを確認しておくと安心です。
同伴者の利用について
アメックスグリーンのプライオリティパスでは、会員本人だけでなく同伴者も利用することができます。ただし、同伴者一人につき32ドル(約3,500円)の利用料が追加で発生します。例えば、カード会員と同伴者1名がラウンジを利用する場合、合計64ドル(約7,000円)が請求されることになります。
家族や友人と一緒に旅行する際、全員がラウンジ体験を共有できるのは魅力的ですが、同伴者が多い場合はコストを考慮して利用を検討する必要があります。なお、一部のラウンジでは同伴者の数に制限を設けていることもあるため、事前に確認しておくことをお勧めします。
プライオリティパスの賢い使い方
アメックスグリーンのプライオリティパスを最大限に活用するためのヒントをいくつか紹介します。
長時間のトランジットや遅延時に利用する
特に長時間の乗り継ぎや、飛行機の遅延が発生した際にラウンジを利用すると、その価値が最大化されます。一般的な空港のフードコートで食事をして時間を潰すよりも、ラウンジ内でゆったりと過ごす方が、快適さという点でコストパフォーマンスに優れています。
早朝や深夜のフライト前に利用する
早朝や深夜の出発便を利用する場合、ホテルのチェックアウト時間と飛行機の出発時間の間に長い時間が生じることがあります。このような場合、空港のラウンジで快適に過ごせば、追加のホテル宿泊費を節約することもできます。
食事代の節約として考える
多くのラウンジでは、軽食やドリンクが無料で提供されています。空港内のレストランで食事をするよりも、ラウンジ内で食事を済ませる方が経済的な場合も多いです。特に、食事代の高い空港では、ラウンジ利用料(32ドル)が実質的な食事代として機能することも珍しくありません。
アプリを活用して事前にラウンジをチェック
プライオリティパスの公式アプリを使えば、各ラウンジの設備、提供サービス、営業時間、混雑状況などを事前に確認できます。これにより、訪問先のラウンジが自分のニーズに合っているかどうかを判断し、効率的な利用計画を立てることができます。
年間旅行頻度に応じた利用計画
年間の旅行頻度が少ない場合は、アメックスグリーンのプライオリティパスは費用対効果が高いオプションとなります。一方、頻繁に旅行する場合は、無制限のラウンジアクセスを提供するアメックスプラチナカードへのアップグレードを検討する価値があるかもしれません。
プライオリティパス以外のアメックスグリーンの空港特典
アメックスグリーンカードには、プライオリティパス以外にも旅行者に便利な特典がいくつか用意されています。
空港でのFree Wi-Fi
多くの国際空港で、アメックスカード会員向けの無料Wi-Fiサービスが提供されています。これは、ラウンジを利用しない場合でも、待ち時間中にインターネットに接続する手段として役立ちます。
海外旅行傷害保険
アメックスグリーンカードには、旅行中のアクシデントに対する保険が付帯しています。旅行中の医療費や手荷物の紛失など、様々なリスクに対する保障が含まれており、より安心して旅行を楽しむことができます。
手荷物遅延保険
飛行機の手荷物が遅延した場合、必要な生活用品の購入費用を補償する保険も付帯しています。これにより、手荷物の到着を待つ間のストレスを軽減することができます。
プライオリティパスとアメックスグリーンの組み合わせの価値
アメックスグリーンカードの年会費は29,700円(税込)です。この年会費に対して、プライオリティパスの会員資格(通常99ドル相当)が含まれることは、カードの価値を大きく高めています。
年に数回の旅行で、それぞれの往復便でラウンジを利用するだけでも、プライオリティパスの会員資格だけで年会費の一部を回収することができます。さらに、アメックスグリーンには他にも様々な特典(ショッピング保険、旅行保険、コンシェルジュサービスなど)が付帯しているため、トータルで見れば非常に価値のあるカードと言えるでしょう。
最大限の活用のための追加アドバイス
空港到着時間の調整
ラウンジを利用する予定がある場合は、通常よりも少し早めに空港に到着することを検討しましょう。これにより、セキュリティチェックを済ませた後でもラウンジでゆっくりと過ごす時間を確保できます。一般的には、国際線の場合でフライト出発の3時間前、国内線の場合は2時間前に空港に到着するとちょうど良いでしょう。
ビジネストリップでの活用
出張でのラウンジ利用は、仕事の準備や最終調整の場としても活用できます。多くのラウンジにはビジネスセンターや静かな作業スペースが用意されており、出発前の貴重な時間を有効に使うことができます。
年間利用回数の検討
前述のように、アメックスグリーンのプライオリティパスは利用ごとに料金が発生します。年間の予想利用回数に基づいて、グリーンカードを維持するか、より上位のプラチナカード(無制限ラウンジアクセス付き)にアップグレードするかを検討する価値があります。一般的には、年間10回以上のラウンジ利用を予定している場合、プラチナカードの方がコスト効率が良くなる可能性があります。
まとめ:旅行体験を格上げするプライオリティパス
アメックスグリーンカードに付帯するプライオリティパス特典は、頻繁に旅行する方にとって大きな魅力です。空港での待ち時間を快適に過ごすことができるだけでなく、ラウンジ内での食事や飲み物、Wi-Fiなどのサービスを通じて、旅行体験全体を向上させることができます。
利用ごとに料金が発生するという点はありますが、それでも一般的なラウンジ利用料と比較すれば割安であり、年に数回の旅行でも十分に元を取ることができるでしょう。また、アメックスグリーンカードのその他の特典と組み合わせれば、カード全体としての価値はさらに高まります。
プライオリティパスの賢い活用法を身につけ、世界中の空港で一般の旅行者とは一味違った、上質な旅の時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。アメックスグリーンカードとプライオリティパスの組み合わせが、あなたの旅行体験を新たな次元へと導いてくれるはずです。