
空港での快適な時間を約束するプライオリティパス。特にアメリカン・エキスプレス(アメックス)のカード付帯特典として人気を集めてきましたが、近年「改悪」と呼ばれる特典縮小が進んでいます。この記事では、アメックスプライオリティパスの改悪内容や影響、そして代替策について詳しく解説します。
アメックスプライオリティパスとは
アメックスの対象カード会員は、会員制の空港ラウンジサービス「プライオリティ・パス」を年会費無料で利用することができます。プラチナ・カードなどの上位カードでは、ラウンジの利用回数に制限がなく、ラウンジ利用料も無料となっています。
プライオリティパスは世界中の1,300以上の空港ラウンジを利用できる会員制サービスで、本来ならば年間65,000円程度の年会費が必要となります。しかし、アメックスカードの付帯特典として無料または優遇された条件で利用できることから、頻繁に海外旅行する方々にとって非常に魅力的な特典となっていました。
アメックスプライオリティパス改悪の実態
アメックスのプライオリティパスは2019年8月1日から大きく改悪され、関西国際空港のぼてぢゅうなど、空港内レストランではプライオリティパスを利用できなくなりました。アメリカン・エキスプレスは「プライオリティ・パス提供の趣旨はプレミアムラウンジスペース」という観点から、レストランでの割引サービスを終了させました。
それまで空港内レストランや免税店での割引など、多様な特典を享受できていたアメックスカード会員にとって、これは大きな痛手となりました。特に人気だったのが、空港レストランでの3,400円分の割引クーポンで、実質的に無料で食事ができるケースも多かったのです。
2019年8月1日からアメックスカードのプライオリティパスでは、空港ラウンジのみの利用に限定されるようになりました。これにより、空港内のレストラン、リラクゼーション施設、免税店など、ラウンジ以外の施設での特典が利用できなくなったのです。
具体的な変更点は以下の通りです:
空港レストランでの割引・無料食事の終了
空港内リラクゼーション施設(マッサージなど)の利用特典廃止
免税店での優待・割引の終了
「ラウンジ並びに一部スリーパースイート」のみ利用可能に
アメックスの改悪を皮切りに、他のクレジットカード会社も追随する形で改悪を進めています。
2024年10月からは、JCBおよびMUFGの一部クレジットカードに付帯するプライオリティ・パスの利用範囲も大幅に制限されることが発表されました。この変更により、ラウンジ以外の施設での特典が利用できなくなるという内容となっています。
また楽天プレミアムカードは、2025年1月から無料利用回数が年間5回に制限され、6回目からは都度利用料金が発生するようになりました。以前は年会費11,000円(税込)で最高ランクのプレステージ会員として無制限に利用できていたのが大きな魅力でした。
なぜ改悪が進んでいるのか?
プライオリティパス付きクレジットカードが改悪される大きな原因は、クレジットカード会社が負担するコストの増加です。プライオリティパス付きクレジットカードを発行しているクレジットカード会社は、プライオリティパス側に費用を支払うことでエンドユーザーにプライオリティパスへのアクセスを付与しています。
しかし、プライオリティパスを使ってラウンジやレストランなどを複数はしごする「ラウンジホッピング」などが増えていることを受けて、クレジットカード会社がサービスを提供し続けることが経済的に困難になっているのが実情です。クレジットカード会社の負担を軽くするための対策として、サービスの終了や制限といった改悪が続いています。
実際、特に空港レストランでの3,400円分の無料クーポンが人気を集め、多くの利用者が増加した結果、クレジットカード会社の負担が予想以上に膨らんだものと考えられます。
アメックス公式の改悪に関する見解
💬 アメックスはプライオリティ・パス改悪の趣旨について、「私たちのラウンジへのアクセス特典は、世界中を旅しながらリラックスしてくつろぐためのプレミアムラウンジスペースをカード会員に提供することを目的としています」という見解を表明しています。
つまり、アメックスとしては本来の目的である「ラウンジでのリラックス空間提供」に特典を集中させる方針へと舵を切ったということです。実際、公式サイトでも以下のように明記されています:
📢 「アメックスのプライオリティ・パスは、空港ラウンジのみのご利用となります。通常のプライオリティ・パスで提供されている空港内のレストランやスパのご利用は、アメックス付帯のプランに含まれておりませんのでご注意ください。」
改悪後もメリットはあるのか?
世界1,300ヶ所以上の空港ラウンジ利用可能:改悪後も基本的な空港ラウンジの利用は可能で、混雑する一般エリアを避けて快適に過ごせます。
飲食やWi-Fiなどの基本サービス維持:ラウンジ内では引き続き軽食、ドリンク、Wi-Fiなどの基本サービスを利用できます。
プラチナカード以上は利用回数無制限:アメックスプラチナなど上位カードでは、ラウンジの利用回数制限がない点は変わっていません。
ただし、レストランやスパなどの付加価値サービスが利用できなくなったことは否めず、特にそれらのサービスを主な目的として利用していた方にとっては、大きな価値低下と言えるでしょう。
アメックス以外の選択肢:まだ改悪されていないカード
アメックス直営カードでのプライオリティパス改悪に対して、まだ改悪されていない選択肢もあります。
セゾンプラチナビジネスアメックスのプライオリティパスは2025年4月1日現在、改悪の予定も一切発表されておらず、改悪もされていません。セゾンプラチナビジネスアメックスで発行できるプライオリティパスはプレステージランクなので、対象の空港ラウンジは制限なしで使えます。
さらに、プライオリティパスと当日の搭乗券を提示すれば、レストランで3,400円の割引クーポンとして飲食できます。飲食代が3,400円以下の場合は無料になります。2人でプライオリティパスをそれぞれ持って食事をした場合、3,400円割引×2名=6,800円割引されてお会計が0円になるケースもあります。
おすすめの代替カード
2025年2月現在で、プライオリティパス付帯のおすすめクレジットカードとして、セゾンプラチナビジネスアメックスが挙げられます。このカードには、プライオリティパスの最高ランク「プレステージ会員」が付帯されます。
セゾンプラチナ・ビジネス・アメックス・カードの年会費は22,000円(税込)ですが、初年度は年会費無料で持つことができます。つまり、1年間は完全無料でプライオリティパスが使えるのです。もちろんレストランやトランジットホテルの割引優待も受けられます。
とにかく安くプライオリティパスを持ちたい方は、年会費優遇型セゾンゴールド・アメックス・カードがおすすめです。初年度年会費無料&年1回の利用で翌年の年会費が無料になるので、かかるのはプライオリティパスの年会費11,000円(税込)だけです。
今後の展望:改悪はさらに進む?
2024年10月以降、クレジットカードに付帯されるプライオリティパスの改悪は加速しており、今後もプライオリティパスの改悪が加速していくと予想されます。特に空港レストラン・リフレッシュ施設については、国内のプライオリティパス付帯のクレジットカードでは利用不可になる可能性も高いでしょう。
現在まだ改悪されていないカードも、いつ改悪されるか分からない状況です。各カード会社のコスト削減圧力が高まる中、特典を維持できるカードは徐々に減少していくと予想されます。
利用者はどう対応すべきか
現在の特典内容を再確認する:自分が持っているカードの最新の特典内容を確認し、期待通りのサービスが受けられるか確認しましょう。
利用パターンを見直す:主にラウンジ利用だけが目的なら、改悪後のアメックスでも十分かもしれません。レストランなどの割引が重要なら、まだ改悪されていないカードへの切り替えを検討しましょう。
複数のカードを比較検討する:年会費と得られる特典のバランスを考え、自分のライフスタイルに合ったカードを選びましょう。年に何回利用するかで最適なカードは変わります。
新たな情報に注意を払う:各カード会社の発表や、ブログなどの情報源をチェックし、新たな改悪情報や条件変更に注意しましょう。
アメックスプライオリティパス改悪への対策まとめ
アメックス直営カードのプライオリティパス改悪は、2019年を皮切りに空港ラウンジ以外の特典が次々と失われてきました。しかし、セゾンプラチナビジネスアメックスなど一部の提携カードでは、まだレストラン割引などの特典を維持しています。
旅行頻度や利用スタイルに合わせて最適なカードを選ぶことが重要です。改悪の波は今後も続くと予想されるため、定期的に特典内容を確認し、必要に応じてカードを見直すことをおすすめします。
アメックスのプライオリティパス改悪は残念な変更ですが、まだ代替策はあります。この状況を賢く乗り切り、今後も快適な空港時間を確保しましょう。
プライオリティパス改悪に備えるための心構え
一時的な特典や割引に依存せず、長期的に価値のあるカードを選びましょう。ポイント還元率や他の特典も含めて総合的に判断することが重要です。
一つのカードだけに依存せず、複数のカードを状況に応じて使い分けることで、リスク分散ができます。
クレジットカード業界は変化が速いため、常に最新情報をチェックする習慣をつけましょう。専門ブログやSNSでの情報共有は非常に役立ちます。
「あったら便利」と「本当に必要」は異なります。年に数回しかラウンジを利用しないなら、高額な年会費を払ってまで上位カードを保有する必要はないかもしれません。
プライオリティパス以外の代替サービスも検討
アメックスプラチナカードユーザーには、プライオリティパス以外にも選択肢があります:
アメックスプラチナ会員なら、プライオリティ・パスに開放されていないラウンジも含めて、アメックス・グローバル・ラウンジ・コレクションで、多様な空港ラウンジを利用できます。
これは、プライオリティパスの改悪対策として有効な選択肢の一つです。プライオリティパスで利用できなくなったサービスを、他の特典でカバーする方法を探ることも大切です。
最後に
プライオリティパスの改悪は、クレジットカード業界全体の課題となっています。サービスの持続可能性と利用者のメリットのバランスが問われる中、各カード会社はさまざまな対応を迫られているのです。利用者としては、常に最新情報をキャッチアップし、自分にとって最適な選択をすることが大切です。
改悪の波に乗り遅れず、常に一歩先を行く賢いカード選びで、これからも快適な旅の時間を確保していきましょう。アメックスプライオリティパスの改悪は一つの転機ですが、新たな可能性も同時に生まれています。最新の情報を元に、あなたの旅のスタイルに合ったプライオリティパスの活用法を見つけてください。
改悪という逆境を乗り越え、さらに賢く空港サービスを活用する方法を模索し続けることが、今後の海外旅行をより充実させる鍵となるでしょう。
プライオリティパス改悪から考えるクレジットカード選びの本質
最後に、この一連の改悪から私たちが学ぶべきことは何でしょうか。それは「特典が豪華なほど、いずれは改悪される可能性が高い」という事実です。コストと利益のバランスを考えれば当然のことですが、私たちユーザーはこの事実を理解した上でカード選びをする必要があります。
特典が充実しているからといって飛びつくのではなく、自分のライフスタイルや利用頻度を冷静に分析し、本当に価値のあるカードを選ぶことが重要です。改悪の波は今後も続くでしょうが、それに振り回されず、賢明な判断で自分に最適なカードを選び続けることが、長期的には最も効果的な戦略となるはずです。
アメックスプライオリティパスの改悪は残念ですが、これを機に改めて自分のカード戦略を見直し、より賢いクレジットカードライフを実現してください。空の旅がさらに快適になることを願っています。